大阪の不動産市場を、金利・価格・賃貸需要という同じ物差しで毎月確認する定点観測の第2回、2026年10月号です。前号で「次号は基準地価の結果と日銀会合の内容を反映して更新する」とお伝えしたとおり、9月に出そろった3つの数字を中心に整理します。
今月の要点
- 日銀が9月18日に政策金利を0.25%引き上げ、1.25%程度に。6月から3か月での追加利上げ
- 基準地価(7月1日時点)は大阪府の住宅地が3.0%上昇。ただし大阪市は6.7%、大阪市以外は2.2%と差が広がり、住宅地の約1割の地点は下落
- 大阪市の中古マンション価格は21か月連続で上昇したが、上昇の勢いは年明けより弱まり、中心6区は小幅に下落
今月の3つの動き
1. 金利|日銀が1.25%へ利上げ、住宅ローン金利は上がる方向
日本銀行は9月17日・18日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き上げて1.25%程度とすることを決めました。6月に1.0%へ引き上げてから3か月での追加利上げで、前号で「9月の会合で追加の判断があるかどうかが焦点」とお伝えした点は、利上げという形で決着しました。

長期固定のフラット35(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下)の最も多い金利は、9月が3.46%で、8月の3.29%から上がりました。変動金利は、日銀の利上げから少し遅れて、各金融機関が基準とする金利に反映されるのが一般的です。すでに借りている方の返済額にいつ、どれだけ反映されるかは、金融機関や契約の内容によって違います。
2. 地価|大阪市と大阪市以外で上昇率に3倍の差
9月15日に公表された2026年の基準地価(7月1日時点)では、大阪府の住宅地が前年比3.0%、商業地が8.8%、工業地が7.2%上がりました。住宅地・商業地は5年連続の上昇で、工業地は2016年から毎年上昇が続いています。

ただし、中身を分けて見ると差がはっきりします。住宅地の上昇率は大阪市が6.7%だったのに対し、大阪市以外の府内は2.2%でした。市区町村別の住宅地の上昇率の上位は天王寺区10.7%、中央区9.6%、福島区9.3%と、いずれも大阪市の中心部です。一方で、住宅地の継続地点479地点のうち52地点(10.9%)は下落しており、下落率の上位は岬町、千早赤阪村、能勢町でした。大阪府は、交通の便が劣るエリアでは下落が続いていると分析しています。
商業地は162地点のうち下落はゼロで、上昇率の上位は西区18.7%、福島区16.8%、北区15.6%でした。インバウンド需要や、駅前のマンション・オフィス用地への投資需要が押し上げたとされています。
3. 中古マンション|大阪市は上昇が続くが、勢いは弱まる
東京カンテイが9月24日に公表した8月の中古マンション価格(売り出し価格をもとにした70㎡換算)では、大阪市が前月比0.6%高い6,543万円で、21か月連続の上昇でした。ただし同社は、前月比2〜3%の上昇が続いた年明け後と比べて、上昇の度合いが明らかに弱まっていると指摘しています。

大阪市の中心6区(福島区・西区・天王寺区・浪速区・北区・中央区)に限ると、前月比0.3%下がって9,465万円と、小幅ながら続落しました。売りに出ている戸数も急速に積み上がってきているとされています。前号で紹介した「成約価格が売り出し価格に寄ってきている」という流れと合わせると、中心部の強気な値付けは通りにくくなってきたと読めます。
10月に確認したい指標
- フラット35の10月の金利:10月1日に公表されます。最新の数字は住宅金融支援機構のサイトで確認できます
- 各金融機関の変動金利:9月の利上げを反映した基準金利の見直しが、どの時期に行われるかに注目です
- 日銀の金融政策決定会合:次回は10月29日・30日です。連続での利上げになるかどうかが焦点になります
- 中古マンション価格:9月分は10月下旬に公表される見込みです。大阪市中心6区の下落が続くかを見ます
立場別・今月のチェックポイント
これから買う人
政策金利は6月と9月の2回、続けて上がりました。変動金利で借りるなら、今の金利から1〜2%上がっても返済を続けられるかを必ず試算してください。地価の上昇が特に目立つのは大阪市の中心部ですが、北大阪地域などでも上がっています。価格が上がっている場所ほど、家賃との比較で見た利回りは低くなります。
売ろうとしている人
大阪市の中心部は、地価は上がっていても中古マンションの売り出し価格は小幅に下がり、売り物も増えています。当社では、こうした局面では高めの価格で長く様子を見るだけでなく、直近の成約事例や競合する物件をふまえて売り出し価格を考えることが大切だと考えています。大阪市以外の戸建てや空き家は、地価の上昇がゆるやかで、下落している地点もあります。値上がりだけを期待して持ち続けるのではなく、建物の傷みや固定資産税などの持ち続ける費用も含めて、売る時期を考えることが大切だと考えています。
持ち続ける人
変動金利で借りている方は、次に金利が見直される時期と、1%上がったときの返済額を返済予定表で確認しておいてください。空室や修繕積立金の値上げが重なると、金利上昇の影響は大きくなります。
当社の見方
9月は「金利は上がり続け、地価の上昇は大阪市の中心部に集中し、中心部のマンションでは売り出し価格の勢いが止まり始めた」ことが数字で確認できた月でした。大阪とひとくくりにせず、どの場所の、どの種類の不動産かで分けて考えることが、前号以上に大切になっています。
前号は大阪不動産市況 2026年9月号、下半期の3つの論点は2026年下半期の大阪不動産市況見通しでまとめています。次号は11月上旬に、10月の日銀会合の結果などを反映してお届けします。
大阪市内・大阪府内の不動産について、売却のご相談や査定はお問い合わせより承っています。「まだ売ると決めていない」という段階のご相談も歓迎です。
出典
- NHK「日銀 利上げ決定 政策金利1.25%程度へと引き上げ」(2026年9月18日)
- 日本銀行「金融政策決定会合の運営」(会合日程)
- 大阪府「令和8年大阪府基準地価格調査(地価調査)の結果について」
- 東京カンテイ「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」(2026年9月24日)
- 住宅金融支援機構「最新の金利情報(フラット35)」
※本記事は公表資料と報道をもとにした一般的な市況の解説で、個別の投資判断を示すものではありません。数値は出典の公表時点のものです。
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この記事の執筆・監修
株式会社ユナイテッドコーポレーション(代表:栂 淳也)|宅地建物取引業 大阪府知事(4)第54181号|大阪で創業20年。不動産の売買・買取、空き家・ボロ戸建の再生を手がけるほか、オリジナルブランドJUREMIの物販とiOSアプリ開発を自社で運営しています。会社概要/代表挨拶
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