傷んだ家をどうするか考えるとき、先に壊したほうが売れるのではないかと考える方は多いです。しかし解体には費用がかかり、税金の扱いも変わります。実際には、古家付きのまま売ったほうが手取りが多くなる場面も少なくありません。判断の基準を整理します。
判断軸1 固定資産税の住宅用地特例
住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を下げる特例があります。200平方メートルまでの部分は評価額の6分の1、それを超える部分は3分の1です。建物を取り壊して更地にすると、この特例が外れて土地の税額が数倍に上がります。判定は毎年1月1日時点の状況で行われるため、年内に解体して年をまたぐと翌年の税負担が跳ね上がります。売却が決まっていないのに先に壊すのは、この点だけでも慎重に考えるべきです。
判断軸2 解体費用と現状渡しの差
木造の戸建で延床30坪程度なら、解体費用はおおむね100万円台からが目安です。ただし大阪市内の密集地では重機が入らず手壊しの割合が増え、前面道路が狭くて小型のトラックしか使えないといった事情が重なると、金額は大きく上がります。残置物の量やアスベスト含有建材の有無でも変わります。この費用を売却価格に上乗せできるかどうかが、実質的な分かれ目になります。
判断軸3 買主層がどう変わるか
更地にすると、自分で家を建てたい実需の買主や建売業者が対象になります。古家付きのままなら、リノベーション前提の実需、投資家、買取業者が中心です。大阪の住宅地では、間口が狭い、旗竿地である、再建築不可であるといった条件が付くと、更地にしても実需の買主が付きにくいことがあります。土地の形と道路付けを見て、更地にする意味があるかを先に確かめてください。
解体してはいけないケース
再建築不可の土地は、解体すると二度と建物を建てられなくなります。建物が残っていればリフォームして使う道がありますが、更地にすると資材置き場や駐車場といった用途に限られ、価値が大きく下がります。接道が2メートル未満、建築基準法上の道路に接していないといった条件に当てはまる場合は、絶対に先に壊さないでください。まず役所で道路の種別を確認するのが先決です。
契約不適合責任をどう考えるか
古家付きで売る場合、引き渡し後に雨漏りやシロアリが見つかると、売主が責任を問われる可能性があります。個人間の売買では、契約書で建物について責任を負わないと定めるのが一般的ですが、知っていて隠した事実については免責されません。この点を避けたいという理由で更地にする方もいます。一方、業者への買取であれば現状のまま引き渡す前提で取引できるため、責任の不安は小さくなります。
迷ったら両方の見積もりを取る
結論は物件ごとに変わります。実務でおすすめしているのは、解体業者から解体費用の見積もりを取り、あわせて古家付きのままの買取査定と、更地にした場合の想定売却価格の両方を出してもらうことです。手元に残る金額を並べて比較すれば、判断は明確になります。解体費用を先に負担する資金繰りも含めて考えると、古家付きのまま売る選択が現実的な場面は思った以上に多いものです。
解体を決めたときに忘れやすい手続き
建物を取り壊したら、1か月以内に建物滅失登記を申請します。これを怠ると、存在しない建物の登記が残り、固定資産税が課され続けることがあります。解体業者から取り壊し証明書と、業者の資格を示す書類を受け取り、土地家屋調査士に依頼するか自分で法務局に申請してください。また、大阪市をはじめ多くの自治体には老朽危険家屋の除却に対する補助制度があります。着工前の申請が条件になっていることがほとんどですので、壊す前に窓口で確認してください。
よくあるご質問
Q. 更地にすると売れやすくなりますか
A. 土地の形と道路付けが良ければ買主層は広がります。ただし再建築不可や極端な狭小地では、更地にしても買主が増えず、税負担だけが増えることがあります。
Q. 解体費用を売却代金から払うことはできますか
A. 買主が決まっている場合、決済後に解体する取り決めにすることもあります。当社の買取では、解体を前提とした価格で現況のまま引き取る形が一般的です。
Q. 残置物が大量にありますが片付けが必要ですか
A. 仲介で売る場合は原則として片付けが必要です。買取であれば残置物をそのままお引き渡しいただける場合が多く、片付け費用を抑えられます。
まとめ
古家付きか更地かは、固定資産税の特例、解体費用、買主層という3つの軸で判断します。1月1日時点で建物がないと翌年の土地の税額が上がるため、売却の目処が立たないうちに壊すのは危険です。再建築不可の土地は解体すると価値を大きく損ないます。解体見積もりと、古家付きのままの買取査定を並べて比較するのが確実な進め方です。
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この記事の執筆・監修
株式会社ユナイテッドコーポレーション(代表:栂 淳也)|宅地建物取引業 大阪府知事(4)第54181号|大阪で創業20年。不動産の売買・買取、空き家・ボロ戸建の再生を手がけるほか、オリジナルブランドJUREMIの物販とiOSアプリ開発を自社で運営しています。会社概要/代表挨拶
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