プレビルド(建設前)投資とは何か?なぜ日本人が飛びつくのか
「まだ建っていない物件を、完成前に購入する」——これが、東南アジアの不動産投資でよく聞くプレビルド(Presale)と呼ばれる販売方式です。
フィリピンのマニラ、タイのバンコクやパタヤ、マレーシアのクアラルンプールなど、東南アジアの主要都市では、この「完成前販売」が不動産市場の主流になっています。日本でも「先行予約価格で安く買える」「完成後に値上がりが期待できる」「毎月少額の積立払いでOK」という謳い文句で、セミナーやSNSを通じて日本人投資家に積極的に売り込まれています。
私(投資家JACK)も10年以上前、フィリピンとタイでプレビルド物件を購入した経験があります。当時は「これが正しい海外投資だ」と信じていました。しかし実際に起きたことは、セミナーで聞いた話とはまったく異なるものでした。この記事では、私の実体験と、全国各地のコアメンバー(現在11年目のサロン)から寄せられた事例をもとに、プレビルド投資の本当のリスクを包み隠さずお伝えします。
プレビルド投資の「仕組み」と「甘い罠」
プレビルド投資の基本的な仕組みはこうです。ディベロッパーが建設予定地を取得し、設計図や完成予想図を作成した段階で販売を開始します。購入者は「予約金→毎月の積立払い→残金一括」という形で代金を支払い続け、2〜4年後の完成時に物件を受け取るというスキームです。
この仕組みが日本人投資家に受けやすい理由は複数あります。まず「完成後より20〜30%安い先行価格」という訴求が刺さります。次に「毎月3〜5万円の積立払いでOK」という手軽さが敷居を下げます。さらに「完成したら賃貸に出せて、家賃収入が得られる」「売却すれば価格差で利益が出る」という出口戦略も魅力的に見えます。
しかし、このすべてが「計画通りに進んだ場合」の話です。現実はまったく違います。
実際に起きていること①:ディベロッパーの倒産・資金持ち逃げ
プレビルド投資で最も深刻なリスクが、ディベロッパーの経営破綻や資金持ち逃げです。
私が実際に経験したケースでは、フィリピンのある有名ディベロッパーが販売した物件を購入し、2年間にわたって毎月積立払いを続けました。ところが建設工事が予定の半年を過ぎても着工すらされず、問い合わせに対しては「資材調達の遅れ」「行政手続きの問題」という曖昧な回答ばかり。その後、そのディベロッパーは事実上の事業停止状態となり、支払い済みの資金の大半が戻ってこないという結末を迎えました。
これは特殊なケースではありません。フィリピンやタイでは、小規模から中規模のディベロッパーが資金繰り悪化で工事を途中放棄するケースが年間数十件単位で発生しています。日本のように厳格な供託制度や行政による監視体制が整備されていないため、購入者が支払った資金はディベロッパーの運営資金として使われてしまい、倒産時に残るものがほとんどないのです。
私のサロンのコアメンバーの中にも、某フィリピン系ディベロッパーのプレビルド物件に300万円以上を投資し、最終的に100万円しか戻ってこなかった方がいます。弁護士に相談しても、現地法令の壁と言語の壁があり、実質的な回収はほぼ不可能でした。
実際に起きていること②:竣工の大幅遅延と「永遠に終わらない工事」
倒産や持ち逃げほど派手ではありませんが、同じくらい深刻な問題が竣工の大幅遅延です。
東南アジアのプレビルド物件では、「2年後完成予定」が「3年後」「4年後」「5年後」とずるずる延びるケースが非常に多く発生しています。私がタイで購入した物件は、当初2年後の完成予定でしたが、実際に鍵を受け取るまでに4年以上かかりました。その間もずっと積立払いは続きます。
竣工遅延が起きると何が問題になるか。まず、資金が長期にわたって拘束されます。毎月の積立払いを4年以上続けるということは、他の投資機会を失い続けるということです。次に、完成時期が読めないため賃貸計画・売却計画がまったく立てられません。さらに現地の物件価格や為替レートが変動し、当初想定していた利益が出ない状況になることも珍しくありません。
タイでは「プロジェクト延期通知」の書面を何度も受け取りながら積立払いを続けた挙句、完成した物件が「完成予想図と全然違う」というクオリティだったというケースも報告されています。外観は同じでも内装・設備・共用部のグレードが大幅に下がっていた、というのが典型的なパターンです。
実際に起きていること③:日本人向け「上乗せ価格」の実態
プレビルド投資のもう一つの深刻な問題が、日本人向けの割増価格です。
日本でセミナーを開いて海外物件を販売しているブローカーは、現地ディベロッパーから一定のマージン(仲介手数料・キックバック)を受け取っています。この仕組み自体は悪いことではありませんが、問題はそのマージンが「日本人購入者には分からない形で価格に上乗せされている」ことです。
私が後に現地のエージェントから聞いた話では、同じ物件・同じフロア・同じ間取りを現地フィリピン人が購入する場合と日本人が購入する場合では、価格が15〜25%異なるケースがあるといいます。現地では「フォーリナー・プライス(外国人価格)」という言葉が冗談めかしに使われているほど、これは常態化した慣行です。
加えて、日本国内の販売セミナーでは「購入後のサポート」として管理代行・賃貸斡旋・売却サポートがセットになっていることが多いですが、これらにも割高な手数料が設定されていることがほとんどです。結局、買う時も持つ時も売る時も、コストが日本人価格になっているわけです。
実際に起きていること④:外国人の法的制限という落とし穴
海外不動産投資でしばしば見落とされるのが、外国人の不動産取得に関する法的制限です。
フィリピンでは外国人が土地を購入することは原則できません。コンドミニアム(区分所有マンション)は購入可能ですが、1棟あたりの外国人所有率が40%を超えてはならないというルールがあります。人気物件では外国人枠が埋まってしまい、追加購入ができないケースも発生しています。また、名義を現地人に借りる「名義貸し」は違法行為であり、発覚した場合に物件を没収されるリスクがあります。
タイでは外国人の土地所有はさらに制限が厳しく、コンドミニアムも外国人所有比率の上限(49%)が設けられています。ローンを組む場合も外国人向けの選択肢は極めて限られており、多くの場合は自己資金一括払いが求められます。
これらの法的制約を十分に説明しないまま物件を販売するブローカーも存在します。購入後に「実は外国人には追加手続きが必要だった」「名義の問題で賃貸に出せなかった」という事態が起きてから初めて知る、というケースが後を絶ちません。
「成功している人もいる」という反論への答え
海外不動産投資の話をすると、必ずと言っていいほど「でも成功している人もいますよね?」という反論が来ます。これは事実です。フィリピンやタイで実際にプレビルド物件を購入し、値上がり益を得た人は存在します。
しかし私がここで強調したいのは、「誰が成功しやすいか」という点です。成功しているケースの多くは、次のいずれかに当てはまります。
一つ目は、現地情報に精通したプロ投資家です。現地語ができる、現地のエージェントとの信頼関係がある、物件のデューデリジェンス(調査)を自分でできる——こうした条件が揃って初めて、プレビルド投資は可能性のある選択肢になります。
二つ目は、移住・長期滞在目的の富裕層です。芸能人やアスリートが東南アジアに別荘を持ったり移住したりするのは珍しくありませんが、彼らは「投資目的」ではなく「居住目的」で物件を購入しています。空室リスクも管理リスクも、自分が住むなら関係ない話です。
日本のサラリーマン・自営業者・小規模投資家が、週末のセミナーで説明を聞いただけの状態でプレビルド投資に手を出すのは、全く異なるリスクプロファイルです。現地の状況を直接確認できない、法律の詳細を理解できない、問題が起きても現地対応ができない——この状況で投資するのは、ルールを知らないゲームに大金を賭けるようなものです。
海外不動産より大阪の戸建投資を勧める理由
私が現在、資産形成を真剣に考えている方に強く勧めているのは、海外不動産ではなく大阪を中心とした国内の戸建投資です。その理由を明確にお伝えします。
まず、情報の透明性が圧倒的に違います。日本の不動産は登記情報・固定資産税評価額・過去の取引事例がすべて公開されています。物件の実態を自分の目で確認でき、法律も日本語で読めます。海外物件のように「現地情報が入ってこない」「言語の壁で契約書を読めない」という問題が起きません。
次に、法的保護の厚さです。日本の不動産取引には宅地建物取引業法があり、重要事項説明義務・クーリングオフ・瑕疵担保責任など購入者を守る制度が充実しています。東南アジア各国では購入者保護の仕組みが日本より脆弱で、トラブルが起きても法的救済を受けにくい構造になっています。
そして、実質利回りの比較です。大阪の戸建投資では、物件の条件次第で表面利回り8〜12%を狙えるケースがあります。一方、海外プレビルドで謳われている「家賃保証利回り6〜8%」は、管理費・修繕費・空室リスク・為替リスク・現地税金を差し引いた実質利回りで計算すると、大幅に低下するケースがほとんどです。
海外に目を向けたくなる気持ちはよく分かります。「日本は成長が見込めない」「海外の方が成長性が高い」という論理は一見もっともらしく聞こえます。しかし、リスクを正しく理解した上で比較すると、日本国内——特に大阪のような人口集積地の実需エリア——での戸建投資が、多くの個人投資家にとって現実的なリターンを出しやすい選択肢だと私は考えています。
悪質なブローカーの見分け方と断り方
最後に、海外不動産投資の勧誘を受けた際に役立つ、悪質なブローカーの見分け方をお伝えします。
即決を求めてくるのは大きな危険信号です。「このイベント限定価格」「今日中に決めないと枠がなくなる」といった煽り文句は、冷静な判断を妨げるための常套手段です。良い物件は急いで決めなくても買えます。
リスク説明が極端に少ない場合も要注意です。プレビルド投資には前述のような重大なリスクが存在します。それを一切触れずにメリットだけを強調する説明は、情報の非対称性を意図的に利用しているといえます。
現地視察を強く勧めないブローカーも疑うべきです。まともな投資であれば「一度現地を見てから決めてください」と言えるはずです。「現地に行かなくても大丈夫」「オンラインで全部完結できます」という言い方は、現地の実態を見てほしくない場合に使われることがあります。
断り方としては、「検討します」「家族と相談します」という言葉を使った上で、その場での署名・振込・契約は絶対に避けることです。後日改めて冷静に判断する時間を作ることが、自分の資産を守る最初のステップです。
まとめ:プレビルド投資の前に知っておくべき現実
この記事でお伝えしてきたことをまとめます。
フィリピン・タイなどのプレビルド不動産投資には、ディベロッパーの倒産・資金持ち逃げ、竣工の大幅遅延、日本人向けの割増価格、外国人取得制限という四つの根本的なリスクが存在します。これらは「極端なケース」ではなく、現地では日常的に発生している現実です。
私自身がフィリピン・タイでの投資失敗を経験し、11年間のサロン活動を通じて数多くの失敗事例を見てきたからこそ、この現実を正直にお伝えする義務があると感じています。
海外不動産投資を否定しているわけではありません。十分な準備・知識・現地ネットワークがある方であれば、挑戦する価値はあるかもしれません。しかし、週末のセミナーで聞いた話だけを根拠に、貯めてきた数百万円を見ず知らずの海外ディベロッパーに毎月積立払いし続けるのは、あまりにもリスクが高すぎます。
同じ資金を使うなら、情報が透明で法的保護も厚く、実際の物件を自分で確認できる国内不動産——特に大阪の実需エリアの戸建投資——の方が、多くの個人投資家にとって現実的な選択肢だと私は確信しています。
資産形成は一度の失敗で大きく後退することがあります。「もっとよく調べておけばよかった」という後悔をしないために、今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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——投資家JACK
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