「高利回り物件」に飛びついて失敗する投資家が後を絶たない
不動産投資の情報を調べていると、「利回り10%超の高利回り物件」「表面利回り12%の優良物件」といった宣伝文句をよく目にします。私・投資家JACKがコアメンバーのサロン(2015年スタート・現在11年目)でも、こうした「高利回り」という言葉に引き寄せられて物件を購入し、後悔しているという相談が後を絶ちません。
なぜこうした問題が繰り返されるのでしょうか。その根本的な原因は、「利回り」という指標を正しく理解せずに投資判断をしてしまうことにあります。
利回りには種類があります。不動産業者がよく使う「表面利回り」と、実際の収益性を示す「実質利回り」、そして米国の投資分析でよく使われる「NOI(純営業収益)」に基づく利回りです。これらの違いを理解していないと、数字の見た目に騙されて大きな損失を被ることになります。
今回は、大阪の不動産市場を知り尽くした投資家JACKが、利回りの正しい読み方と、高利回りの裏に潜むリスクを詳しく解説します。
表面利回りとは何か?なぜ「罠」になるのか
まず最も基本的な概念から確認しましょう。表面利回りとは、「年間想定賃料収入 ÷ 物件購入価格 × 100」で計算される数字です。
例えば、購入価格1,000万円の物件が月7万円の家賃収入を得られるとすれば、年間賃料は84万円。84万円 ÷ 1,000万円 × 100 = 8.4%が表面利回りです。
この計算式のどこが問題なのでしょうか。大きく3つの落とし穴があります。
落とし穴①:空室期間を考慮していない
表面利回りの計算では「年間想定賃料収入」として12ヶ月分の家賃を入れることが多いですが、実際には入居者の退去・次の入居者が見つかるまでの空室期間があります。大阪の一般的な戸建・マンション投資では、年間を通じて平均1〜2ヶ月程度の空室が発生することは珍しくありません。
先ほどの例で1ヶ月空室が発生すると、実際の収入は84万円ではなく77万円(11ヶ月分)になります。実際の稼働率を掛けると、表面利回り8.4%が実態では7.7%まで下がることになります。
落とし穴②:各種コストを無視している
不動産投資には、家賃収入から差し引かれる様々なコストが存在します。主なものとして、固定資産税・都市計画税、火災保険料、管理委託費(賃料の5〜10%程度)、修繕費・リフォーム費用、ローンの利息(ローン利用の場合)、入居者退去後のクリーニング費用、設備の修繕・交換費用などが挙げられます。
これらを合計すると、年間賃料収入の20〜30%程度がコストとして消えることも珍しくありません。先ほどの例で20%をコストと仮定すると、実際の手残りは77万円 × 80% = 61.6万円。これを購入価格1,000万円で割ると、実質的な利回りは6.16%まで落ちることになります。
落とし穴③:現況賃料と相場賃料のズレ
特に中古物件で多いのが、「現在の入居者の賃料が相場より高い」というケースです。長年住んでいる入居者の家賃は据え置きになっていることが多く、一方で周辺の募集賃料は下落していることがあります。
現入居者が退去した後に新たに入居者を募集しようとすると、相場に合わせた低い賃料しか取れないケースがあるのです。業者が提示する表面利回りが「現在の賃料」を基に計算されていると、退去後に利回りが大幅に低下するリスクがあります。
実質利回りの正しい計算方法
表面利回りの落とし穴を踏まえ、より実態に近い「実質利回り」を計算する方法を解説します。実質利回りは一般的に以下の式で計算されます。
実質利回り = (年間賃料収入 − 年間諸費用) ÷ (物件購入価格 + 取得諸費用) × 100
分子には空室リスクを加味した実際の収入から諸費用を引いたもの、分母には物件価格だけでなく登記費用・仲介手数料・印紙代などの取得諸費用も加えます。
実質利回り計算の具体例
大阪市内の築20年・2LDK戸建(購入価格1,200万円)を例に計算してみましょう。
【収入側】
月額賃料:8万円 × 12ヶ月 = 96万円(満室想定)
空室率10%を考慮:96万円 × 90% = 86.4万円
【費用側(年間)】
固定資産税・都市計画税:約8万円
火災保険料:約1.5万円
管理委託費(賃料の7%):約6万円
修繕積立(月5,000円想定):6万円
その他(クリーニング等):3万円
合計費用:約24.5万円
【取得諸費用】
仲介手数料(3%+6万円+消費税):約45万円
登記費用・印紙代等:約20万円
合計取得諸費用:約65万円
【実質利回り計算】
(86.4万円 − 24.5万円) ÷ (1,200万円 + 65万円) × 100
= 61.9万円 ÷ 1,265万円 × 100
= 約4.89%
表面利回りは 96 ÷ 1,200 × 100 = 8%でしたが、実質利回りは約4.89%と大幅に下がりました。これが現実の数字です。
NOI利回りとは何か?より精緻な分析ツール
米国の不動産投資分析でよく使われるのが、NOI(Net Operating Income:純営業収益)を使った利回り計算です。日本でも大型収益物件の評価に使われることがあります。
NOIは「有効総収入(EGI)から運営費用(OpEx)を差し引いた金額」です。ここでの特徴は、ローンの返済(元本・利息)を費用に含めない点です。物件そのものの収益力を、資金調達方法に左右されず純粋に評価するための指標です。
NOI利回り(キャップレート)= NOI ÷ 物件価格 × 100
NOI利回りが高いほど物件の収益力が高く、低いほど収益力が低い(または物件価格が割高)ということになります。大阪の住宅系投資物件では一般的に4〜7%程度が目安とされています。
なぜNOIが重要なのか
ローンを使って物件を購入した場合、返済の条件(金利・期間・元本額)によって手残り額は大きく変わります。NOIを使うと、こうした資金調達条件の違いを排除して「この物件は本当に良い物件か?」を純粋に評価できます。
また、物件を売却するときの価格査定にもNOIは使われます。買主がNOI÷キャップレートで物件価値を算出するため、NOIが高ければ高い価格で売れる可能性が高まります。
大阪の投資物件で「高利回り」が出やすい理由と注意点
大阪の不動産市場、特に郊外エリアでは「表面利回り10%超」を謳う物件が比較的多く出回っています。これには理由があります。
理由①:物件価格が低い
東大阪・八尾・堺・松原・柏原などのエリアでは、築30年以上の木造戸建が400〜800万円台で売られています。月5〜6万円の家賃が取れれば、表面利回りは8〜15%程度になります。しかし、これらのエリアは人口減少・高齢化が進んでおり、入居者確保が難しい立地も多いのです。
理由②:修繕リスクが潜んでいる
表面利回りが高い物件の多くは築古物件です。築30年を超えると、屋根・外壁・水回り・電気系統などの修繕リスクが急激に高まります。購入直後から大規模修繕が必要になるケースもあり、表面利回りの計算には含まれていないこれらのコストが利益を大幅に食ってしまうことがあります。
私のサロンメンバーの実例をご紹介します(個人情報保護のため詳細は一部変更しています)。大阪府内の築35年・木造戸建を購入価格600万円・表面利回り12%で購入したAさん。購入から半年後に雨漏りが発生し、屋根と防水工事に60万円。その後1年以内に給湯器の交換(20万円)と和室の全面リフォーム(40万円)が重なり、結果的に当初2年間はほぼ利益ゼロの状態が続きました。
理由③:入居率が低いエリアが多い
大阪郊外の空き家率は年々上昇しています。大阪府全体の空き家率はすでに全国平均を上回るエリアもあり、特に高齢化が進む住宅地では賃借人を見つけることが困難なケースもあります。表面利回りの計算は「満室」を前提にしていますが、実際には慢性的な空室に悩むケースもあります。
「本当に使える」利回り判断の基準とは
では、利回りの数字をどのように判断すればよいのでしょうか。投資家JACKが実践で使っている基準をお伝えします。
基準①:実質利回り5%以上を最低ラインとする
先ほどの計算例でも示した通り、表面利回り8〜10%の物件でも実質利回りは4〜6%程度になることが多いです。修繕リスクや空室リスクを考慮すると、実質利回り5%以上(できれば6%以上)を確保できる物件を選ぶことが、安定した投資の基本です。
基準②:修繕費用の見積もりを先に取る
物件購入前に、リフォーム業者や工務店に現地調査を依頼して修繕費用の概算を出してもらうことを強くおすすめします。購入価格から修繕費用を加えた「実際の投資総額」で利回りを再計算してみると、高利回りに見えた物件が実は低収益だったと気づくことが多いです。
基準③:周辺の賃料相場と空室状況を確認する
SUUMOやHOMESなどの賃貸サイトで、対象物件の周辺エリアの同等物件(面積・築年数・間取りが近い物件)の賃料と空室状況を調べましょう。「現在の賃料は相場より高すぎないか?」「周辺に空室物件が多くないか?」を確認することで、より現実的な収益予測ができます。
基準④:5年後・10年後のキャッシュフローをシミュレーションする
不動産投資は長期保有が基本です。購入時だけでなく、5年後・10年後の収支も試算してみることが重要です。賃料の下落(年0.5〜1%程度の自然下落)、修繕費の増加(築年数が上がるにつれ増える)、ローン残高と物件価値のバランスなどを考慮した長期シミュレーションを行うことで、より現実的な投資判断ができます。
大阪市場に特有の「利回り罠」パターン3選
大阪の不動産市場で特によく見られる「高利回りに見えて実は問題がある」パターンを3つご紹介します。
パターン①:競売・任意売却物件の誇大利回り
競売や任意売却で安く取得できた物件を、「購入価格が低いから利回りが高い」という形で宣伝するケースがあります。ただし、こうした物件には入居者トラブル、隠れた瑕疵(建物の欠陥・土壌汚染など)、境界問題など様々なリスクが潜んでいることがあります。
パターン②:サブリース前提の水増し利回り
サブリース(一括借上)を行う業者が、自社の借上賃料を基に計算した利回りを提示するケースです。サブリース賃料は周辺相場の80〜90%程度であることが多く、また5〜10年後には賃料改定(引き下げ)が行われることも少なくありません。業者提示の利回りがサブリースを前提にしているかどうかを必ず確認しましょう。
パターン③:土地値割れ物件の高利回り
大阪郊外では、建物価値がほぼゼロに近い築古物件の場合、土地の売却価値(路線価や公示地価ベース)よりも物件価格が低い「土地値割れ」物件が存在します。こうした物件は確かに利回りが高く出ることがありますが、「いざというとき売れない」リスクがあります。不動産投資の最終的な出口(売却)を考えると、土地値割れ物件は慎重に扱う必要があります。
投資家JACKが実践する「5つのフィルター」
長年の投資経験と11年目を迎えたサロンコアメンバーたちの知見をまとめると、優良な投資物件を選ぶための「5つのフィルター」が見えてきます。
第一のフィルターは「実質利回り5%以上か」です。前述の計算方法で、空室率・諸費用を加味した実質利回りが5%以上あることが最低条件です。
第二のフィルターは「修繕費込みの投資総額でも利回りが成立するか」です。物件購入前に修繕費の概算を出し、それを含めた総投資額でも実質利回りが5%以上になるかを確認します。
第三のフィルターは「賃貸需要のあるエリアか」です。最寄り駅からの距離、周辺の賃貸需要、空室率などを調査します。大阪では都心部(大阪市内・近鉄・地下鉄沿線)に近いほど需要が安定しています。
第四のフィルターは「5年後に売れる物件か」です。購入価格・立地・状態を考慮し、5年後に少なくとも購入価格程度で売却できる見込みがあるかを検討します。土地値を下回る価格での購入は原則避けます。
第五のフィルターは「自分で管理できる(または信頼できる管理会社があるか)」です。物件の管理を委託する場合、信頼できる地元の管理会社があるかどうかも重要な判断基準です。
まとめ:利回りは「入口」に過ぎない
不動産投資において、利回りは確かに重要な指標です。しかし、利回りはあくまでも「この物件をさらに詳しく調べる価値があるか」を判断する入口に過ぎません。
表面利回りだけに注目して投資判断を行うと、空室リスク・修繕コスト・賃料下落リスクなど様々な「隠れたコスト」を見落とすことになります。投資家JACKがこれまで見てきた失敗事例の多くは、この「表面利回りの罠」にはまったケースです。
正しい利回り計算と複数のフィルターを組み合わせることで、本当に収益性の高い物件を見極める力が養われます。特に大阪のような多様なエリア特性を持つ市場では、エリアごとの賃貸需要・修繕コスト・将来の地価動向なども考慮した、総合的な判断が求められます。
初めて不動産投資を検討されている方は、いきなり物件を購入する前に、まず利回りの正しい計算方法を身につけることをおすすめします。そのうえで、信頼できる不動産会社や先輩投資家に相談しながら、慎重に進めていただければと思います。
大阪での不動産投資・物件選びについてのご相談は、ぜひunited-c.jpまでお気軽にどうぞ。投資家JACKが率いるコアメンバーサロンでも、実践的な投資ノウハウをお伝えしています。
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