大阪の不動産市場について、当社では2026年から「毎月同じ物差しで見る」定点観測を始めます。1本の長い予測記事は、書いた瞬間から古くなっていきます。それよりも、金利・価格・賃貸需要という3つの軸を毎月確認し続けるほうが、買う人にも売る人にも役に立つと考えたためです。今号はその第1回、2026年9月号です。
今月の3つの動き
1. 金利|変動型は上昇局面、フラット35は3%台
日本銀行が2025年末の金融政策決定会合で利上げを決めたことを受け、多くの金融機関で変動型の住宅ローン金利が2026年春ごろから0.25%前後上がったと報じられています。長期固定のフラット35は、2026年6月に3%を上回りました(出典)。
投資用ローンは住宅ローンより金利が高く、上昇の影響も直接的です。借入2,000万円・35年で金利が1%上がると毎月の返済は約1万円増える(当社試算)ため、収支の薄い区分マンションでは手残りが消える水準です。9月の日銀会合では追加の判断があるかどうかが焦点になります。
2. 価格|大阪市内の中古マンション成約価格は下落傾向、売り出しとの差が縮小
民間の調査(ダイヤモンド不動産研究所・2026年7月度)によると、大阪市内の中古マンションは成約価格が下落傾向にあり、売り出し価格との差(いわゆる「ワニの口」)が縮まってきているとされています。
これは「売り手が強気の値付けをしても、成約は下で決まる」局面から、「売り出し価格そのものが現実に寄ってきた」局面への移行を示す動きです。売却を考えている方にとっては、相場より高い値付けで長期間さらすより、実勢に合わせて早めに決めるほうが結果的に手残りが大きくなりやすい環境と言えます。
3. エリア差|中心部は高水準、周辺部との差が広がる
梅田・難波・心斎橋・天王寺といった中心部は、インバウンドの回復と再開発の進行を背景に、価格が高い水準で推移していると報じられています。一方、大阪市内でも中心6区とそれ以外、府北部・南部・東部・堺市では需給の動きが異なるとされ、「大阪」とひとくくりにした見方は、もはや実態に合いません。
当社が空き家・戸建の相談を受けている郊外エリアでは、中心部の価格上昇はほとんど波及していません。持っている物件の場所によって、いま売るべきか持つべきかの答えは正反対になります。
9月に公表される指標と、その見方
- 都道府県地価調査(基準地価):例年9月中旬〜下旬に公表されます。7月1日時点の地価で、3月公表の公示地価とあわせて年2回の定点です。大阪市内と府内周辺部の上昇率の差に注目してください。
- 日銀 金融政策決定会合:9月にも開催されます。利上げの有無だけでなく、次回以降の見通しに関する発言が金融機関の金利設定に影響します。
- 不動産価格指数(国土交通省):毎月末ごろに公表される指数で、マンション・戸建・土地の動きを地域別に追えます。1か月の変化より、6か月の傾向で読むのがコツです。
立場別・今月のチェックポイント
これから買う人
金利上昇分を織り込んだ収支で計算し直すこと。1〜2%の上昇に耐えられない案件は、いまの市況では見送りが基本です。中心部の高値づかみより、賃貸需要が確認できる周辺部の戸建てのほうが、利回りの面で現実的な選択肢になります。
売ろうとしている人
成約価格が売り出し価格に寄ってきている以上、「高く出して様子を見る」戦略は効きにくくなっています。査定の根拠(成約事例)を確認したうえで、実勢に沿った価格で早めに動くほうが、結果的に手残りは残りやすいと考えています。
持ち続ける人
変動金利の返済予定表で、次の見直し時期と、1%上昇時の返済額を確認しておいてください。空室や修繕積立金の値上げが重なると、金利上昇の影響は倍になります。
当社の見方
市況を一言でまとめれば「金利は上がり、価格の勢いは中心部に偏り、売り手の強気は通りにくくなった」局面です。派手な下落局面ではありませんが、買う側・売る側ともに数字の根拠なしに動くと損をしやすい環境になっています。半年前の見通しについては2026年版の市場分析、下半期の3論点は下半期の見通し、湾岸エリアは夢洲IR着工後の動向もあわせてご覧ください。
次号は10月上旬に、基準地価の結果と日銀会合の内容を反映して更新します。
大阪市内・大阪府内の不動産について、売却のご相談や査定はお問い合わせより承っています。「まだ売ると決めていない」という段階のご相談も歓迎です。
※本記事は公表資料および報道をもとにした一般的な市況の解説であり、個別の投資判断を示すものではありません。数値は出典の公表時点のものです。
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この記事の執筆・監修
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