工事が終わってから、壁の中の配管や下地の写真がなくて説明に困った。施主に工事の様子を見せたいけれど、写真がスマホの中でばらばらになっていて、どれがどの現場か分からない。一人親方や小さな工務店では、そんな経験をした方も多いのではないでしょうか。
この記事では、リフォームや民間工事で残しておきたい工事写真と、黒板の書き方、工事写真台帳のまとめ方を整理しました。国土交通省の写真管理基準など公共工事の考え方は、民間工事で写真を撮るときにも参考になります。
この記事の要点
- 工事前・工事中・工事後の写真は、トラブルを防ぐのに役立つ場合があると、自治体もリフォームの案内で説明している
- 着工前・施工中・完成に加えて、完成後に見えなくなる部分、使った材料、安全の取り組みなども撮っておく
- 黒板には、工事名・工種・撮った場所・内容などを、写真で読める大きさで書く
- 公共工事では発注者の基準が優先され、電子小黒板には改ざんを見つける機能が必要。補助金を使う工事では、写真の条件を手引きで確かめる
工事写真を残す理由
栃木県は、住宅リフォームのトラブルについての案内で、工事前・工事中・工事後の状態を写真で残すことは「大きなトラブルを未然に防ぐ上で有効な場合があります」と説明しています。不具合が起きても原因をすぐに特定できないことが多いため、写真などで工事の記録を残しておくことも勧めています(栃木県の案内)。
補助金を使う工事では、写真がそのまま申請の条件になることもあります。たとえば国の「みらいエコ住宅2026事業」のリフォーム向けの手引き(2026年8月17日版)では、工事前・工事中・工事後の写真を出せないと補助金を受けられないとしていて、工事前と工事後は同じ角度・画角で撮るよう求めています。写真の条件は補助金の事業や年度によって変わるので、使う補助金の手引きで確かめてください。
撮っておきたい写真
国土交通省の写真管理基準(案)(令和8年3月版)は、国の土木工事の写真を、着手前及び完成、施工状況、安全管理、使用材料、品質管理、出来形管理、災害、事故、その他の9つに分けています。完成後に見えなくなる部分は、寸法が分かるように特に注意して撮るとしています。民間のリフォームでも、この分け方を参考にすると撮り忘れを減らせます。

| 区分 | 撮るもの |
|---|---|
| 着工前 | 工事をする場所の全体と、直す部分の今の状態 |
| 施工中 | 工事の進み具合。解体したあとの状態や、下地・配管・断熱材など完成後に見えなくなる部分 |
| 使用材料 | 使った材料や製品。型番や数量が分かるように |
| 安全 | 養生や足場など、安全のための取り組み |
| 完成 | 着工前と同じ場所の仕上がり |
撮るときのコツ
- 着工前と完成は同じ位置・同じ向きから:比べやすくなります。補助金によっては、同じ角度・画角で撮ることが求められます
- 見えなくなる部分は仕上げる前に撮る:壁や床をふさいだあとは撮り直せません。メジャーなどを当てて、寸法が分かるように撮ります
- 黒板の字が読めるように撮る:国土交通省のデジタル写真管理情報基準では、画素数を100万〜300万画素程度とし、小黒板の文字が読めることを目安にしています。提出する写真は、提出先の条件を確かめます
- 写真の加工は提出先の条件を確かめる:国の基準では、写真の信ぴょう性のために写真の編集を認めていません。民間工事でも、明るさの調整や、あとから黒板を入れるなどの加工をする前に、提出先の条件を確かめ、加工する前の写真も残しておきましょう
- その日のうちに整理する:現場ごと、区分ごとに分けておくと、台帳をまとめるときに探さずに済みます
黒板の書き方
国の土木工事の基準では、小黒板の項目として、工事名、工種等、測点(位置)、設計寸法、実測寸法、略図を挙げ、必要な事項を写真で読めるように写し込むとしています。国の建物の工事では、工事名、工事種目、撮影部位、施工状況、受注者名などが挙げられています。項目は、発注者や工事の種類によって違います。
民間のリフォームなら、たとえば次のような項目を書いておくと、後から見返したときに分かりやすくなります。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 工事名 | ○○様邸 浴室改修工事 |
| 工種 | 解体、給排水、内装など |
| 撮った場所 | 1階 浴室 北側の壁 |
| 内容 | 下地の状態、配管の位置など |
| 撮影日 | 撮った日 |
| 施工者 | 会社名や屋号 |
撮影日は、国の土木工事の黒板の項目には入っていませんが、東京都建設局のように黒板の項目に入れている発注者もあります。民間工事でも、日付があると工事の順番が分かりやすくなります。
公共工事の電子小黒板
国土交通省は、平成29年から、黒板の内容をデジタルで写真に書き込む電子小黒板を認めています。電子小黒板で黒板の情報を書き込むことは、写真の編集には当たらないとされています。ただし、使えるソフトには、改ざんを見つける機能(信ぴょう性の確認)が必要です。対応しているかは、施工管理ソフトウェア産業協会(J-COMSIA)が検定していて、合格したソフトの一覧を公開しています(J-COMSIAの電子小黒板のページ)。
令和5年4月以降に入札する国の土木工事では、電子小黒板を使わない写真のほうに、監督職員の承諾が要るようになりました。公共工事の写真は、発注者の基準と特記仕様書に従ってください。
工事写真台帳のまとめ方
- 区分ごと、施工の順に並べる:東京都建設局の要領では、着手前、施工状況、出来形、品質、完成の順に並べ、安全管理と材料検査は別にまとめています。民間工事では、提出先と並べ方を決めておきます
- 写真ごとに説明を付ける:何を撮った写真かが分かるように、場所や内容を書き添えます。撮った場所が分かりにくい写真には、位置図を付けると親切です
- 表紙を付ける:工事名、工事の場所、工期、施工者などを表紙にまとめておくと、後から探しやすくなります
- 渡す形を決めておく:紙で渡すか、PDFで渡すかを、施主や元請けと前もって決めておきます
当社のアプリ「工事写真台帳」
当社が開発したiPhone・iPad用のアプリ「工事写真台帳」は、工事の写真を黒板つきで撮って、着工前・施工中・完成などに並べ、表紙つきのA4の台帳(PDF)にするアプリです。民間工事やリフォーム向けで、公共工事の電子小黒板には対応していません。
ここで紹介する機能や料金は、2026年10月時点のものです。

- 工事名・工種・箇所・内容・撮影日・施工者の入った黒板を、写真に写し込んで撮れます。黒板は指で好きな位置に動かせて、大きさは3段階から選べます。最近使った言葉が候補に出ます。通信のない現場でも使えます
- 写真は着工前・施工中・完成・材料・安全などの区分に分けて並び、順番の入れ替えや説明の書き込みができます。「写真」アプリにある写真も追加できます
- 黒板なしで撮った写真や、「写真」アプリから追加した写真に、あとから黒板を入れることもできます。保存したあとは黒板を外せません。撮影日の記録がない写真には追加した日が入るので、保存する前に実際の撮影日を確かめて直してください
- 台帳のPDFは、1ページに3枚・2枚・6枚から選べ、表紙には工事名・発注者・工事場所・工期・施工者・写真の枚数が入ります。メールやLINE、AirDropでそのまま送れて、印刷もできます
- 写真と記録は端末の中だけに保存します。広告はありません

撮影・黒板・写真の整理・台帳PDFの作成は、すべて無料で使えます。無料のままでは工事を2件まで登録できます。アプリの中の「全部解放」(2,000円・買い切り)を購入すると、工事を何件でも登録でき、写真ごとのバックアップの書き出しも使えるようになります。月額料金はかかりません。
このアプリの黒板は、写真に文字の入った画像を重ねて保存するもので、写真も縮小して保存し直します。そのため、このアプリで保存した写真は、公共工事の電子納品には使えません。黒板の文字や撮影日は、実際の工事と撮影日に合わせて入力してください。アプリは実際の撮影日時を証明するものではありません。提出先の決まりに合うかは、発注者の案内で確かめてください。
まとめ
工事写真は、着工前・施工中・完成に加えて、完成後に見えなくなる部分や使った材料も、その場で撮っておくのが基本です。黒板には工事名や撮った場所を読める大きさで書き、区分ごと・施工の順に並べて台帳にまとめると、施主への説明や後からの確認に使いやすくなります。公共工事や補助金を使う工事では、発注者や手引きの決まりを先に確かめましょう。現場ごとのお金の管理は、一人親方の帳簿のつけ方でまとめています。
🏢 このアプリの開発元
株式会社ユナイテッドコーポレーション(大阪市北区・2007年設立)が自社で企画・開発しています。本業は大阪での不動産の売買・買取で、オリジナルブランドJUREMIの物販やアプリ開発など6つの事業を自社で運営しています。App Storeでは、開発者名が代表取締役 栂 淳也の個人名「JUNYA TOGA」で表示されます。
この記事の執筆・監修
株式会社ユナイテッドコーポレーション(代表:栂 淳也)|宅地建物取引業 大阪府知事(4)第54181号|大阪で創業20年。不動産の売買・買取、空き家・ボロ戸建の再生を手がけるほか、オリジナルブランドJUREMIの物販とiOSアプリ開発を自社で運営しています。会社概要/代表挨拶
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