現場が終わったあとに、この工事で結局いくら残ったのか分からない。確定申告の時期になって、1年分のレシートの山から数字を拾い直している。一人親方の方からよく聞く悩みです。
現場ごとに帳簿をつけておけば、工事ごとのもうけが見えるうえ、確定申告の集計作業を大きく減らせます。この記事では、一人親方の帳簿のつけ方を、現場ごとの原価管理と、年をまたぐ工事の扱いを中心に説明します。
この記事の要点
- 帳簿は「現場ごと」に、請負代金・経費・入金の3つを記録する
- 経費は材料費・労務費・外注費・経費の4つに分けると、現場ごとの原価がつかめる
- 工事の収入は、原則として完成して引き渡した年の収入になる。年をまたぐ工事の原価は、完成した年に回す
- 10万円以上の工具や車両は、原則として減価償却で数年に分けて経費にする(一括償却や青色申告の特例もある)
一人親方の帳簿は「現場ごと」につける
一般的な家計簿のように日付順に経費を並べるだけでは、どの現場でいくらかかったのかが分かりません。一人親方の帳簿は、現場(工事)ごとに次の3つを記録するのが基本です。
| 記録するもの | 中身 |
|---|---|
| 請負代金 | 工事名、注文者(元請会社や施主)、契約した金額 |
| 経費 | その現場のためにかかった材料や外注などの費用。領収書も現場ごとに分けて保管 |
| 入金 | いつ、いくら入金されたか。未入金の残りもひと目で分かるように |

現場ごとに「請負代金 − 原価」を出すと、その工事の粗利が分かります。粗利が薄い現場の傾向がつかめれば、次の見積もりに生かせます。
経費は4つに分けて原価をつかむ
工事の原価は、建設業で一般的な次の4つに分けておくと整理しやすくなります。
| 区分 | 主な中身 |
|---|---|
| 材料費 | 木材、金物、塗料など、工事に使った材料 |
| 労務費 | その現場で働いた人に払った賃金 |
| 外注費 | ほかの職人や業者に任せた部分の代金 |
| 経費 | 現場への交通費、駐車場代、機械のレンタル代など |
一方で、事務所の家賃や携帯電話の料金、保険料のように、特定の現場に分けられない費用もあります。こうした共通の経費は現場とは別に記録し、確定申告のときに収支内訳書(一般用)や青色申告決算書の科目に振り分けます。
年をまたぐ工事は、どの年に入れるか
12月に始まって翌年2月に終わるような工事は、収入と経費をどちらの年に入れるかで迷いやすいところです。
請負の工事の収入は、原則として、工事を完成させて相手に引き渡した日の年の収入になります。そのため、年末の時点でまだ完成していない工事に対応する材料費・労務費・外注費などの原価は、その年の原価にせず、完成前の工事の分として翌年へ繰り越すのが基本です。建設業の帳簿では、こうした原価を「未成工事支出金」などとして分けて管理します。

引き渡しの日をいつとみるかは、作業が終わった日、検収が済んだ日など、工事の内容や契約によって変わることがあります。完成した部分ごとに収入を計上する扱いになる場合もあります。なお、一定の要件を満たして現金主義による所得計算の特例を選んでいる場合は、扱いが異なります。消費税の仕入税額控除の時期も、所得税とは別の決まりです。判断に迷う工事は、税理士や税務署に確認してください。
工具や車両は減価償却で経費にする
取得価額が10万円以上の工具や発電機、軽トラックなどは、原則として買った年に全額を経費にするのではなく、耐用年数に応じて数年に分けて経費にします(減価償却)。20万円未満のものを3年で均等に経費にする「一括償却資産」の方法を選べる場合もあります。中古で買った車両は、残りの耐用年数を簡便な方法で見積もれる場合があります。事業とプライベートの両方で使う車は、走行距離など合理的な基準で事業で使った割合を出し、その分だけを経費にします。
青色申告をしている場合は、一定の金額未満のものを買った年にまとめて経費にできる特例もあります。使えるかどうかは、税理士や税務署の案内で確かめてください。
帳簿は現場にいるうちにつける
帳簿づけが続かない一番の理由は、あとでまとめてやろうとすることです。材料を買ったら、その場でレシートを撮って現場に記録する。入金があったら、その日のうちに記録する。この2つを習慣にするだけで、年末の集計作業を大きく減らせます。
当社のアプリ「一人親方の現場台帳」
当社は大阪で、中古戸建ての販売やリノベーションなど、職人さんと一緒に進める仕事を続けてきました。職人さんの帳簿づけを現場にいるうちに終わらせられるように当社で開発したのが、iPhone・iPad用のアプリ「一人親方の現場台帳」です。

- 現場ごとに請負代金を登録し、経費を材料費・労務費・外注費・経費の4つに分けて入力できます。領収書の写真も残せます
- 現場ごとの粗利と粗利率、入金済み・未入金がひと目で分かります
- 現場を「完成」にした日を基準に、年度ごとに集計できます。完成していない現場の原価は、アプリ上では完成した年度に自動で繰り越します。税務上の収入の時期は引き渡しや検収、契約の内容によって違う場合があるので、「完成」にする日は引き渡しの日に合わせておくと整理しやすくなります
- 10万円以上の工具や車両は、取得年月と金額を入れると減価償却費を計算します
- 確定申告用のPDFや、工事経歴書に使える現場一覧をCSVで書き出せます。広告はなく、ログインも不要です

現場3件までの登録と、記録・集計の閲覧は無料で使えます。1回の支払い(2,000円)ですべての機能が使えるようになり、月額料金はありません。
アプリは帳簿づけの補助です。減価償却費などは一般的な計算方法による概算で、税務上の正確さを保証するものではありません。申告にあたっては、税理士や税務署の案内に従ってください。
まとめ
一人親方の帳簿は、現場ごとに請負代金・経費・入金を記録し、経費を4つに分けるのが基本です。年をまたぐ工事は完成した年にまとめ、工具や車両は減価償却で分けて経費にします。大家さん向けの帳簿のつけ方は家賃の帳簿のつけ方で解説しています。
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🏢 このアプリの開発元
株式会社ユナイテッドコーポレーション(大阪市北区・2007年設立)が自社で企画・開発しています。本業は大阪での不動産の売買・買取で、オリジナルブランドJUREMIの物販やアプリ開発など6つの事業を自社で運営しています。App Storeでは、開発者名が代表取締役 栂 淳也の個人名「JUNYA TOGA」で表示されます。
この記事の執筆・監修
株式会社ユナイテッドコーポレーション(代表:栂 淳也)|宅地建物取引業 大阪府知事(4)第54181号|大阪で創業20年。不動産の売買・買取、空き家・ボロ戸建の再生を手がけるほか、オリジナルブランドJUREMIの物販とiOSアプリ開発を自社で運営しています。会社概要/代表挨拶
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