「完成前の物件を今のうちに押さえておけば、竣工までに価格が上がって確実に儲かります」——東南アジアの不動産を紹介するセミナーで、こうした言葉を聞いたことはありませんか。フィリピンやタイ、マレーシアといった成長著しい国々の不動産は、日本国内では得られないような高い値上がり益を期待させる魅力的な投資対象として語られがちです。しかし弊社には、こうした海外不動産、とりわけ「プレビルド(未完成物件の先行販売)」に手を出して大きな損失を被った方からのご相談が、長年にわたって数多く寄せられてきました。
この記事では、海外プレビルド不動産投資がなぜ危険なのか、その仕組みと典型的な失敗パターンを、実際にご相談者の皆様から伺った事例をもとに具体的に解説していきます。批判のための批判ではなく、「正しい知識を持って冷静に判断していただきたい」という思いで書いています。これから海外不動産を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。
そもそもプレビルド方式とは何か
プレビルドとは、まだ建物が完成していない、あるいは着工すらしていない段階で購入契約を結び、竣工までの数年間にわたって代金を分割で支払っていく販売方式です。英語では「off-plan(オフプラン)」とも呼ばれます。東南アジアの新興国では、このプレビルド方式が一般的な販売手法として広く使われています。
購入者から見た表向きのメリットはこうです。完成物件を買うよりも割安な価格で購入できる、頭金が少なくて済む、竣工までに周辺相場が上昇すれば含み益が生まれる、といった点が強調されます。ディベロッパー側からすれば、建設資金を購入者の積立で賄えるため、自己資金や銀行融資への依存を減らせるという利点があります。
「安く買えて値上がりする」という説明の危うさ
セミナーで示される値上がりのシナリオは、たいてい過去の成功事例と右肩上がりのグラフで構成されています。しかし冷静に考えてみてください。まだ存在しない建物に、完成の数年も前からお金を払い込むということは、その間のあらゆるリスクを購入者が一手に引き受けるということです。建物が本当に完成するのか、完成したとして約束された品質なのか、そして竣工時に本当に値上がりしているのか——これらはすべて「不確実な未来」に賭けているに過ぎません。
失敗事例1:ディベロッパーの倒産と資金持ち逃げ
弊社に寄せられたご相談のなかで最も深刻なのが、積立を続けている最中にディベロッパーが経営破綻してしまうケースです。あるご相談者は、フィリピンのリゾート地に建設予定というコンドミニアムを、日本国内で開かれたセミナーで紹介されました。毎月一定額を数年間積み立てる契約を結び、着実に支払いを続けていたそうです。
ところが竣工予定の時期が近づいても、現地の建設は基礎工事の段階からほとんど進んでいませんでした。問い合わせても曖昧な返答が続き、やがて某ディベロッパーは連絡が取れなくなり、実質的に破綻。それまでに払い込んだ数百万円は戻ってきませんでした。物件という「モノ」が一切残らず、支払ったお金だけが消えてしまったのです。
新興国では購入者保護の仕組みが弱い
日本国内であれば、宅地建物取引業法による手付金等の保全措置や、供託制度など、購入者を守る仕組みが整備されています。しかし新興国では、こうした購入者保護の法制度が未整備であったり、あっても実効性が乏しかったりすることが少なくありません。ディベロッパーが倒産した際に積立金が保全される保証はほとんどなく、いざトラブルになっても、言語や法制度の壁があるため、日本から救済を求めるのは極めて困難です。現地で弁護士を立てて訴訟を起こそうにも、費用と時間、そして精神的な負担は計り知れません。
失敗事例2:竣工の大幅な遅延
倒産までは至らなくても、竣工が何年も遅れるケースは非常に多く見られます。当初「2年で完成」とされていた物件が、5年経っても完成しない——こうした話は珍しくありません。東南アジアでは、行政の許認可の遅れ、資材価格の高騰、労働力不足、天候不順、資金繰りの悪化など、さまざまな要因で工期が大幅に延びることがあります。
竣工が遅れれば、その間の家賃収入は当然ながら一切入ってきません。「完成したら賃貸に出して家賃で回収する」という前提で資金計画を立てていた方は、収入ゼロのまま積立だけが続くという苦しい状況に追い込まれます。日本国内でローンを組んで頭金を捻出していた場合、その返済だけが重くのしかかってくることになります。
失敗事例3:日本人向けの「上乗せ価格」
海外不動産投資でとりわけ注意していただきたいのが、価格の透明性の問題です。弊社のご相談者のなかには、購入後に現地の相場を調べて初めて、自分が現地価格よりもはるかに高い金額で買わされていたと気づいた方が複数いらっしゃいます。
現地の人々が購入する価格と、日本人投資家向けに提示される価格が、まったく別物というのは珍しいことではありません。間に何社もの仲介業者やセミナー主催者が入り、それぞれが手数料を上乗せしていくため、最終的に日本人が支払う価格は現地相場の数割増し、場合によっては倍近くになっていることもあります。この「上乗せ分」がある時点で、竣工後に多少値上がりしたとしても、購入価格の高さがそれを打ち消してしまい、利益が出ないという構造的な問題を抱えることになります。
現地の相場を自力で確認できるか
そもそも、日本にいながら海外の不動産相場を正確に把握するのは容易ではありません。言語の壁があり、現地の取引情報も日本のように整備されていないことが多いためです。売り手側の提示する情報を鵜呑みにするしかない状況そのものが、大きなリスクだと言えます。相場を自力で検証できない投資対象に、まとまった資金を投じることの危うさを、あらためて認識していただきたいと思います。
失敗事例4:管理・運用段階でのトラブル
仮に無事に物件が完成したとしても、そこから先の運用にも数多くの落とし穴があります。海外の物件は、当然ながら日本から目が届きません。管理は現地の管理会社に委託することになりますが、この管理会社をめぐるトラブルが後を絶ちません。
実際にあった事例として、入居者からきちんと家賃が支払われているにもかかわらず、現地の管理業者がその家賃を送金せずに横領していたというケースがあります。オーナーは日本にいるため、現地で本当に入居者がいるのか、家賃がいくらで回収されているのかを確認する術がなく、業者の報告を信じるほかありません。この情報の非対称性を悪用されると、被害に気づくまでに長い時間がかかってしまいます。
不正な修繕費請求という手口
また、実際には行っていない修繕や、相場とかけ離れた高額な修繕費を請求されるケースもあります。「エアコンが故障したので交換した」「水回りの大規模修繕が必要になった」といった名目で、オーナーに次々と費用が請求される。現地を確認できないオーナーは、その修繕が本当に必要だったのか、金額が妥当なのかを判断できないまま、支払いに応じてしまうことになります。こうした不透明な費用が積み重なると、たとえ家賃収入があっても、手元にはほとんど利益が残らないという事態に陥ります。
「芸能人が買っているから安心」ではない
海外不動産のセミナーでは、著名な芸能人やスポーツ選手が現地に物件を持っているという話が、安心材料として持ち出されることがあります。しかし、ここには大きな見落としがあります。彼らの多くは、投資目的というよりも、移住や長期滞在、あるいはセカンドハウスとしての利用を目的として購入しているケースが少なくありません。
自分が実際に住む、あるいは滞在するために買うのであれば、値上がりしなくても、家賃収入がなくても、その物件を使う価値そのものが得られます。しかし、投資目的で購入する一般の方にとっては、値上がりと家賃収入がすべてです。この両者はまったく異なる話であり、「有名人が持っているから」という理由で投資判断をするのは非常に危険です。実際に住むことを前提としない一般の方が投資目的で海外物件を買うと、痛い目に遭いやすいというのが、弊社が数多くのご相談を通じて実感してきたことです。
法律・慣習の違いがもたらすリスク
海外不動産には、日本とは異なる法律や慣習に起因するリスクもあります。国によっては、外国人による土地の所有そのものが制限されており、建物の区分所有権は持てても土地は持てない、あるいは一定の割合までしか外国人が保有できない、といった規制があります。名義をめぐる問題や、相続の際の手続きの複雑さも見過ごせません。
現地の金融機関からローンを組むのも容易ではなく、金利が日本と比べて格段に高いことも一般的です。さらに、通貨が異なるため、為替変動のリスクも常につきまといます。現地通貨建てで多少値上がりしても、円高が進めば、円に換算した際の利益は目減りしてしまいます。こうした複合的なリスクを、日本にいながらすべて管理し続けるのは、現実的に極めて難しいと言わざるを得ません。
悪質な業者を見分けるためのポイント
それでは、こうしたトラブルを避けるために、どのような点に注意すればよいのでしょうか。弊社の経験から、いくつかの見分け方をお伝えします。
まず、「必ず儲かる」「元本保証」「高利回り確約」といった断定的な表現を使う業者には、強い警戒が必要です。不動産投資に絶対はなく、まっとうな事業者であれば、リスクについて必ず丁寧に説明します。リスクの説明を避け、値上がりのバラ色のシナリオばかりを強調する場合は、その時点で距離を置くべきです。
次に、契約を急がせる業者にも注意してください。「今日中に申し込めば特別価格」「この物件は残りわずか」といった煽り文句で冷静な判断を奪おうとするのは、典型的な手口です。まとまった資金を投じる判断を、その場で急いで下す必要は決してありません。
断り方に迷ったら
セミナーや個別相談の場で強く勧誘され、その場で断りにくいと感じることもあるかもしれません。そうしたときは、「家族や専門家に相談してから決めます」ときっぱり伝えて、いったん持ち帰ることをおすすめします。良質な業者であれば、こうした申し出を尊重してくれるはずです。逆に、持ち帰りを渋ったり、しつこく引き止めたりする業者であれば、なおさら契約すべきではないというサインだと考えてよいでしょう。
海外より日本国内、とりわけ大阪の戸建という選択肢
ここまで海外プレビルド投資のリスクを見てきましたが、では資産を殖やしたい方はどうすればよいのでしょうか。弊社がおすすめしたいのは、目の届く範囲、すなわち日本国内での投資です。とりわけ大阪をはじめとする関西圏の戸建投資には、海外物件にはない大きな安心感があります。
日本国内であれば、物件を自分の目で見て確認できます。現地に足を運び、周辺環境や建物の状態、入居者の様子を直接把握できるということは、それだけでリスクを大きく減らします。相場も公開情報から確認しやすく、法制度も購入者を守る方向で整備されています。管理会社とのやり取りも日本語ででき、トラブルがあっても対処しやすい。為替リスクも当然ありません。
大阪の戸建投資は、比較的手ごろな価格から始められ、需要も安定しています。派手な値上がり益を狙うのではなく、堅実に家賃収入を積み上げていく——こうした地に足のついた投資こそが、長期的に見て資産を守り育てる王道だと弊社は考えています。海外の華やかなセミナーで語られる夢のような話に飛びつく前に、ぜひ足元にある堅実な選択肢に目を向けていただきたいと思います。
まとめ:正しい知識で冷静な判断を
海外プレビルド不動産投資は、ディベロッパーの倒産や資金持ち逃げ、竣工の大幅な遅延、日本人向けの上乗せ価格、管理段階での家賃横領や不正な修繕費請求、そして法律・慣習・為替の違いといった、数多くのリスクを抱えています。これらは決して特殊な事例ではなく、弊社に寄せられるご相談のなかで繰り返し目にしてきた、いわば典型的なパターンです。
大切なのは、「必ず儲かる」という甘い言葉に惑わされず、そのリスクを正しく理解したうえで冷静に判断することです。目の届かない海外の未完成物件に大きな資金を投じることの危うさを、どうか軽く見ないでください。もし海外不動産の勧誘を受けて迷っている、あるいはすでに契約してしまって不安を抱えているという方は、決してお一人で抱え込まず、まずはご相談ください。当社スタッフがいつでもご相談を承ります。お客様が同じ失敗を繰り返さないよう、実践的なアドバイスをさせていただきます。
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