低金利を前提に「変動金利なら返済も軽い」と勧められて始めるワンルームマンション投資。しかし金利が上昇局面に入ると、その前提は一気に崩れます。本記事では、金利上昇がワンルーム投資の収支に与える影響と、契約前に必ず確認すべき点を解説します。
変動金利が「上がらない前提」で組まれている危うさ
販売時の収支シミュレーションは、多くの場合いまの低い金利が続く前提で作られています。ところが変動金利は経済状況によって見直されるもの。わずかな金利上昇でも、毎月の返済額は増え、ただでさえ薄い手残りが簡単にマイナスへ転落します。
「5年ルール・125%ルール」の落とし穴
変動金利には、返済額の急増を一定期間抑える仕組み(いわゆる5年ルール・125%ルール)がある場合があります。一見やさしい仕組みですが、抑えられているのは「毎月の支払額」だけで、利息そのものは増えています。支払いきれない利息が未払い利息として積み上がり、後でまとめて負担が来るケースもあります。
契約前に必ずやるべきこと
- 金利が1%・2%上がった場合の返済額を自分で再計算する(ストレステスト)
- 家賃が下がった場合・空室が出た場合も重ねてシミュレーションする
- 固定金利との総返済額の差を比較する
- 「いまが低金利だから」という理由だけで判断しない
金利は自分でコントロールできないリスクです。だからこそ、上がっても耐えられるかどうかを、買う前に数字で確かめておくことが欠かせません。
金利が1%上がると、返済はいくら増えるのか
借入2,000万円・35年・元利均等返済で試算すると、次のようになります。
| 金利 | 毎月の返済額 | 35年間の総返済額 |
|---|---|---|
| 1.9% | 65,231円 | 約2,740万円 |
| 2.4% | 70,432円 | 約2,958万円 |
| 2.9% | 75,858円 | 約3,186万円 |
| 3.9% | 87,359円 | 約3,669万円 |
1%上がると毎月の返済は約1万円増え、総額では約450万円の差になります。家賃収入からの手残りが月5,000円といった水準の物件では、1%の上昇で収支が完全に反転します。
借換えという逃げ道が使いにくい理由
自宅のローンであれば、金利が上がる前に固定へ借り換えるという選択肢があります。しかし投資用ローンの場合、次の事情から借換えは簡単ではありません。
- 投資用ローンを扱う金融機関そのものが少なく、選択肢が限られる
- 購入時より物件の評価額が下がっていると、借換え可能な金額に届かない
- 借換えには事務手数料や抵当権の設定費用がかかり、数十万円単位の持ち出しになる
つまり、金利が上がってから動こうとしても、動ける余地は小さいということです。
いま保有している人ができること
- 適用金利と見直し時期を確認する:返済予定表と契約書で、次の見直しがいつかを把握します。
- 1%・2%上昇時の収支を計算しておく:耐えられるラインを先に知っておけば、慌てずに済みます。
- 繰上返済の効果を試算する:手元資金に余裕があるなら、期間短縮型の繰上返済は利息の圧縮に効きます。
- 耐えられないと分かったら早めに出口を検討する:金利上昇局面では、同じ判断をする売り手が増えるため、動くのが遅いほど不利になります。
金利上昇局面で起きる「売り手の増加」
金利が上がると、返済が苦しくなった所有者が同時期に売却を検討し始めます。売り物件が増えれば、買い手は選べる立場になり、価格は下がりやすくなります。
つまり、金利上昇は毎月の返済額と売却価格の両方に効いてくるということです。返済が厳しくなってから売ろうとすると、条件の悪い時期に売ることになります。
固定と変動、どちらが正解か
投資用ローンでは、そもそも固定金利の選択肢が限られます。そのうえで考え方を整理すると、次のようになります。
- 手残りが薄い物件:わずかな上昇で赤字になるため、金利変動に耐えられません。変動で組むこと自体が前提として無理があります。
- 手残りに余裕がある物件:変動でも耐えられます。上昇分を吸収できる範囲かどうかで判断します。
大切なのは金利タイプの選択そのものより、上がっても成り立つ収支かどうかです。
返済予定表のどこを見るか
金融機関から届く返済予定表では、次の3点を確認してください。
- 元金と利息の内訳:初期は利息の割合が高く、元金がなかなか減りません。
- 次回の金利見直し時期:半年ごとに見直される契約が一般的です。
- 現在の残債:売却を検討する際の基準になります。
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この記事の執筆・監修
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