近年、フィリピンのマニラやセブ、タイのバンコクといった東南アジアの新興国不動産が「これから値上がりする」「日本より利回りが高い」と紹介され、日本人投資家の関心を集めています。日本国内でセミナーを開催する海外不動産ブローカーも増え、華やかなパンフレットを片手に資料請求された方も多いのではないでしょうか。
しかし弊社には、東南アジア不動産を購入された後で「想定していた賃料が入ってこない」「現地の管理会社と連絡が取れなくなった」「修繕費の請求額が異常に高い」といったご相談が後を絶ちません。本記事では、長年にわたり大阪を拠点に不動産業を営んできた当社の視点から、東南アジア不動産投資に潜む構造的なリスクを、できる限り具体的に解説していきます。
東南アジア不動産投資ブームの裏側にある現実
フィリピンやタイ、ベトナムといった東南アジア各国は、人口増加と経済成長を背景に、確かに不動産市場が拡大している地域です。日本の人口減少と比較すれば、長期的な需要見通しが明るく見えるのは事実です。だからこそ、海外不動産販売会社は「日本はもう終わり」「これからは東南アジアだ」というメッセージを強く打ち出します。
ところが、マクロの成長性と「個別の投資案件として儲かるかどうか」はまったく別の話なんです。国全体のGDPが伸びていても、外国人投資家が手にできる物件は限られており、しかも現地住民が買う価格とは大きく違う価格帯で売られているケースが多々あります。さらに、現地の不動産流通市場が未成熟なため、買った後に「売りたい時に売れない」という出口の問題が必ずついて回ります。
弊社にご相談に来られるお客様の多くは、購入時点ではこうした構造的な問題を説明されておらず、「賃貸需要が旺盛」「キャピタルゲインも狙える」というポジティブな話だけを聞いて契約してしまっています。
日本人向け「上乗せ価格」のからくり
東南アジア不動産投資における最大の落とし穴のひとつが、日本人向けに大幅な価格上乗せが行われている点です。同じ物件であっても、現地の富裕層が買う価格、欧米人投資家が買う価格、そして日本人が買う価格は別物だと考えてください。
具体的には、現地相場の1.3倍から1.8倍、場合によっては2倍近い価格で日本人に販売されている事例も確認されています。なぜそうなるのかというと、日本人投資家は現地語が分からず、現地の不動産情報サイトにアクセスできず、相場感を持たないまま日本国内のセミナーで購入を決めてしまうからです。販売会社にとっては「比較されない顧客」ほど好都合な存在はありません。
上乗せ価格を見抜くチェックポイント
もし海外不動産購入を検討される場合は、最低でも以下の確認を行ってください。第一に、現地語の不動産情報サイトで同条件の物件価格を確認することです。第二に、現地に在住している知人や日系の独立系コンサルタントに相場を聞くことです。第三に、複数の業者から同エリアの見積もりを取り、価格差を比較することです。
これらを怠ると、購入した瞬間に2割から4割の含み損を抱えることになります。日本国内の新築ワンルームマンション投資でも「買った瞬間に値下がりする」問題がありますが、海外不動産の場合はそれよりさらに深刻だとお考えください。
現地管理業者による家賃横領の実態
海外不動産投資は「買って終わり」ではありません。むしろ、買ってからの管理運営の方がはるかに難しく、そこでトラブルが多発します。中でも深刻なのが、現地管理業者による家賃の横領です。
典型的なパターンは次のようなものです。物件を購入した時点で、販売業者から「管理会社はうちのグループ会社が責任を持って管理します」と提案を受け、契約します。最初の数か月は約束通り賃料が日本の口座に送金されてきます。ところが半年、1年と経つうちに「テナントが退去した」「修繕工事のため一時的に賃料を相殺している」といった理由で送金が止まり、いつの間にか管理会社からの連絡そのものが途絶える、というものです。
現地に飛んで状況を確認しようにも、物件にはまったく別のテナントが住んでおり、しかも家賃は別ルートで現地管理業者の懐に入っていた、というケースを弊社のご相談者から何件もうかがっています。日本のように管理会社の不正に対して即座に法的対応が取れる環境ではないため、泣き寝入りに近い形になることが多いのが実情です。
不正な修繕費請求とぼったくり工事の手口
家賃横領と並んで深刻なのが、不正な修繕費請求です。これは「テナントが部屋を傷つけた」「水漏れがあったので緊急対応した」といった名目で、実際にはほとんど何もしていない工事に対して高額な請求書が送られてくる手口です。
請求書には現地語で詳細が書かれており、日本人オーナーが読めないことを前提に、相場の3倍から5倍の金額が記載されているケースもあります。「払わなければテナントから損害賠償請求される」「次のテナント募集ができない」と脅されて、やむを得ず支払ってしまう方が後を絶ちません。
修繕費トラブルの典型例
弊社にご相談くださったあるお客様の事例では、フィリピンのコンドミニアムを所有していたところ、購入から2年の間に「エアコン交換」「給湯器修理」「壁の塗り直し」「水回り全面リフォーム」などの請求が立て続けに発生し、合計で物件価格の15%相当の修繕費を支払わされていました。現地に在住する日本人専門家に確認していただいたところ、実際の工事はほとんど行われていない、もしくは行われていても請求額の5分の1程度の工事内容だったことが判明しています。
こうした不正請求は、現地に常駐できない外国人オーナーを狙い撃ちにした構造的な詐欺と言わざるを得ません。
プレビルド方式に潜む二重・三重のリスク
東南アジア不動産投資でよく勧められるのが「プレビルド方式」です。これは竣工前の物件を割安な価格で購入予約し、毎月一定額を積み立てていくスキームです。竣工時点での市場価格より安く買えるため、引き渡し時にはすでに含み益が出ているというのが販売会社の謳い文句です。
しかし現実には、プレビルド方式には複数のリスクが重なっています。第一に、ディベロッパーの倒産リスクです。日本のように建築途中のディベロッパーが倒産した場合の買主保護制度が整備されていない国も多く、ディベロッパーが破綻すれば積み立てた資金がそのまま消えてしまう可能性があります。第二に、竣工大幅遅延のリスクです。当初の予定より2年、3年と完成が遅れることは珍しくなく、その間に支払った積立金が拘束されたまま運用機会を失います。第三に、完成しても市場価格が想定を下回るリスクです。竣工時点で周辺に類似物件が大量供給されていれば、当初の販売価格より大幅に安い相場になっていることもあります。
弊社のご相談者の中には、毎月積立金を支払い続けて4年が経過しているのに、いまだに建設工事が再開されていないというフィリピン某ディベロッパー案件の被害者も複数いらっしゃいます。
法律・慣習の壁が生む名義トラブル
東南アジア各国には、外国人の土地所有を制限する法律が存在します。たとえばタイでは外国人による土地の直接所有が原則として認められていません。そのため、現地法人を設立する、現地人配偶者の名義にする、長期借地権を取得する、といった「迂回スキーム」が用いられます。
こうしたスキームは合法的に運用されている例もありますが、トラブルの温床にもなります。現地法人を設立して名目上の現地人株主を立てた場合、その株主が突然権利を主張してきたり、配偶者名義で購入した後に離婚問題が起きて物件を失ったり、といった事例も報告されています。
また、相続が発生した際の手続きも非常に煩雑で、現地の法律に基づく相続手続きと日本の相続手続きの両方を経なければならず、相続人にとって大きな負担になります。海外不動産は「自分の代だけで完結する投資」と割り切れない限り、次世代に深刻な問題を残す可能性があるのです。
米国・ハワイ不動産投資にも独自のリスクがある
東南アジアと比較すると、米国本土やハワイの不動産投資は法制度が整っている分、安心感があると言われがちです。しかし、ここにも見逃せないコストとリスクが潜んでいます。
米国不動産では、固定資産税が日本よりはるかに高く、物件価格の1%から2%が毎年かかります。HOA(Home Owners Association)の管理費も高額で、コンドミニアムだと月数百ドル、ハワイの高級物件であれば月千ドルを超えるケースもあります。さらに、空室期間が発生すれば現地の管理会社への手数料、修繕費、保険料がすべて持ち出しになります。為替リスクも無視できず、円高が進めば収益は大きく目減りします。
芸能人やスポーツ選手の方々が長期滞在や移住目的でハワイの物件を購入される事例はよく知られていますが、これは「自分が使うための別荘」だから成立する話なんです。一般の投資家が「利回りを得るために」買うと、想定外の維持コストで赤字に陥る可能性が高いとお考えください。
悪質業者の見分け方と断り方
もし海外不動産のセミナーや勧誘を受けた際は、以下の点に注意してください。「絶対に儲かる」「いま買わないと損する」と煽る業者は警戒すべきです。具体的なリスクを質問しても抽象的な答えしか返ってこない、過去の販売実績データを開示しない、現地視察ツアーで購入を急がせる、といった業者は要注意です。
断る際には、「家族に相談してから決めます」「弊社の顧問に確認します」など、即決を避ける言い方を準備しておくと安心です。海外不動産は数百万円から数千万円という大きな投資ですから、その場で決める性質のものではありません。
弊社にご相談いただいた失敗事例から学ぶ
長年にわたって大阪で不動産業を営んできた当社には、海外不動産投資で損失を出された方々からのご相談が年々増えています。共通しているのは「日本国内では絶対にやらないような調査不足の状態で、海外案件だけは雰囲気で買ってしまった」という後悔の声です。
ある50代のお会社員のお客様は、フィリピンのコンドミニアムを2部屋購入されましたが、購入から3年で合計800万円以上の損失を出されました。家賃送金は1年で途絶え、その後の売却査定額は購入価格の半額以下だったとのことです。別の60代の方は、タイのプレビルド物件に毎月積立金を払い続けていましたが、ディベロッパーが事実上の経営破綻状態となり、3年分の積立金約500万円が戻ってこなくなりました。
こうした事例を間近で見ていると、海外不動産投資は「成功すれば大きいけれど、失敗すればもっと大きい」というハイリスクハイリターンの投資であり、決して安易に手を出すべきではないと痛感します。
海外不動産より大阪の戸建投資をおすすめする理由
弊社が長年大阪の不動産市場と向き合ってきた立場から申し上げると、初めて不動産投資をされる方や、本業の傍らで安定収入を得たい方には、海外不動産よりも大阪市内の中古戸建投資のほうが圧倒的におすすめできます。
大阪の中古戸建投資には、複数の優位性があります。第一に、自分の目で物件を確認できることです。電車や車ですぐに現地に行けるため、購入前の調査も、購入後の管理も自分の手で行えます。第二に、日本の法制度のもとで取引できることです。契約書のトラブルがあっても日本の弁護士に相談でき、最悪の場合でも裁判で権利を守ることができます。第三に、入居者とのコミュニケーションが取りやすいことです。日本語で会話でき、日本の慣習を共有しているため、想定外のトラブルが起きにくい環境です。
さらに大阪市内、特に平野区・住吉区・東淀川区などの戸建が多いエリアでは、土地値で取得できる物件もまだ存在しており、ファミリー層の賃貸需要も底堅く、空室リスクが比較的低い特徴があります。利回りも8%から12%程度を狙えるケースが多く、海外不動産の表面利回りに引けを取りません。
当社のサポート体制
当社では、大阪エリアの中古戸建投資について、物件選定から購入手続き、リフォーム手配、入居者募集、管理運営まで、ワンストップでサポートしております。海外不動産投資で損失を出されてしまった方の立て直しのご相談も承っております。
「海外不動産を勧められているが本当に大丈夫だろうか」「すでに購入してしまったが今後どうすればよいか」といった疑問やお悩みがございましたら、どうぞお気軽に当社スタッフまでご相談ください。お客様お一人おひとりの状況に合わせて、第三者の立場から率直なアドバイスをさせていただきます。
まとめ|海外不動産投資は「美味しい話」ほど慎重に
本記事では、東南アジア不動産投資における日本人向け上乗せ価格、現地管理業者による家賃横領、不正な修繕費請求、プレビルド方式のリスク、名義トラブル、米国・ハワイ不動産の維持コスト、悪質業者の見分け方など、海外不動産投資の構造的なリスクを幅広く解説しました。
もちろん、海外不動産投資がすべて悪い、というつもりはありません。十分な調査と現地ネットワークを持ち、長期的な視点で取り組める方であれば、海外不動産も選択肢のひとつになり得ます。ただし、それは「日本でセミナーを聞いて即決する」レベルの話ではなく、何度も現地に通い、信頼できる現地パートナーを見つけたうえで初めて検討すべきものなんです。
大阪を拠点に長年にわたり不動産業を営んできた弊社の経験から申し上げると、初めて不動産投資をされる方には、まず手の届く範囲、目の届く範囲、法律が分かる範囲での投資をおすすめします。具体的には、大阪市内の中古戸建投資から始めていただくのが、もっとも失敗が少なく、長期的な資産形成にもつながる選択肢だと考えております。
当社スタッフがいつでもご相談を承りますので、海外不動産投資をご検討中の方も、すでにお持ちの方も、また国内不動産投資への切り替えをお考えの方も、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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