「空室になっても家賃が入る」という言葉に要注意
ワンルームマンション投資の営業トークで、おそらく最もよく耳にするフレーズのひとつが「空室になっても家賃保証があるから安心ですよ」というものです。
この「家賃保証」、正式にはサブリース契約(転貸借契約)と呼ばれる仕組みですが、私・投資家JACKのサロン「コアメンバー」では、このサブリース契約に関する相談が11年間で後を絶ちません。「聞いていた話と全然違う」「途中で家賃を下げられた」「解約しようとしたら違約金を請求された」……そんな声を、本当に数えきれないくらい聞いてきました。
今回の記事では、サブリース契約の仕組みと落とし穴を丁寧に解説します。これからワンルームマンション投資を検討している方、すでに保有している方の両方に読んでほしい内容です。まずは「家賃保証」の正体をしっかり理解することから始めましょう。
サブリース契約とは何か?仕組みをわかりやすく解説
まず、サブリース契約の基本的な仕組みを整理しておきましょう。
通常の賃貸経営では、オーナーが入居者に直接部屋を貸します。入居者がいれば家賃収入があり、空室になれば収入がゼロになります。これが一般的な賃貸経営のリスクです。
一方、サブリース契約では、オーナーは不動産管理会社(サブリース会社)に部屋を「まるごと貸し出し」、管理会社がその部屋をエンドの入居者に転貸します。このとき、管理会社はオーナーに「保証賃料」を支払う約束をします。入居者がいようといまいと、オーナーには毎月一定の賃料が入ってくる——これが「家賃保証」の正体です。
構造を整理するとこうなります。まず入居者が管理会社に家賃を支払い、次に管理会社がオーナーに保証賃料(市場家賃の80〜90%程度が一般的)を支払います。差額の10〜20%が管理会社の利益になる仕組みです。
「空室リスクをなくせる」「安定収入が見込める」という点では確かに魅力的に見えます。しかし、この仕組みには大きな落とし穴がいくつも潜んでいます。以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。
落とし穴①:家賃は「保証」されていない——減額リスクの現実
サブリース契約で最も多いトラブルが、この「保証賃料の減額」です。
「家賃保証」と言われると、「契約期間中ずっと同じ金額が保証される」と思う方が多いでしょう。しかし実際は違います。
サブリース契約には、多くの場合「2年ごとの賃料改定」という条項が盛り込まれています。管理会社は市況の変化を理由に、保証賃料の引き下げを要求することができるのです。これは「借地借家法」の規定により、借主(ここでは管理会社)には賃料減額を求める権利があるため、法律的にも認められています。
実際にあった事例をご紹介します。新築時に月8万円の保証賃料でサブリース契約を結んだAさん。最初の数年は問題ありませんでしたが、築5年後に「市場賃料が下落している」という理由で保証賃料を7万円に引き下げると通知が来ました。さらに10年後には6万5,000円まで下がりました。購入時のローン返済額は月7万5,000円だったため、毎月1万円の持ち出しが続く状態に陥ったのです。
このような事例は決して珍しくありません。新築マンションは時間とともに必ず価値が下がります。それに伴い、管理会社が要求する保証賃料も段階的に下げられていくのが実態です。契約書に記載されている「保証賃料の改定条項」を見落としたまま契約するオーナーがいかに多いか、この11年間で痛感しています。
「家賃保証」という言葉の印象とは裏腹に、保証される金額は変わっていくということを、絶対に忘れないでください。
落とし穴②:解約したくてもできない——違約金と「解約できない構造」
「保証賃料が下がるなら、サブリース契約を解約してしまえばいい」と思った方もいるでしょう。しかし、これが意外と難しいのです。
サブリース契約は通常、賃貸借契約の一種として扱われます。借地借家法の適用を受けるため、オーナー側(貸主)から解約するためには「正当な事由」が必要です。そして、単純に「保証賃料が低すぎるから」というだけでは、正当な事由として認められないことが多いのです。
また、契約書に「オーナー側からの解約には○ヶ月前の予告と違約金が必要」という条項が設けられているケースも非常に多く、実際に解約を申し出たオーナーが数十万円〜数百万円の違約金を請求された事例も報告されています。
さらに厄介なのが、サブリース管理会社が入居者を自分で決めている構造です。オーナーは入居者と直接接点がないため、実際に誰が住んでいるのか、どんな状態で使用されているのかさえわかりません。管理会社は自社の都合で入居者を入退去させているため、オーナーにはほとんど情報が開示されません。この「情報の非対称性」が、サブリース契約のもうひとつの問題点です。
落とし穴③:修繕費・原状回復費用はオーナー負担
「管理を全部お任せできる」というのもサブリース契約の売り文句ですが、これも正確ではありません。
サブリース契約において、建物の修繕や設備の交換費用は基本的にオーナー負担です。入居者が退去した際の原状回復費用についても、契約内容によってはオーナーが全額または一部を負担しなければならないケースがあります。
エアコンの交換(1台あたり10〜15万円)、給湯器の交換(10〜20万円)、水回りの修繕(数十万円)……これらのコストは突然発生するため、キャッシュフローを大きく圧迫します。
さらに、管理会社が指定する修繕業者に頼むと、相場より割高な工事費を請求されるケースもあります。オーナーが費用の妥当性を検証しにくい構造になっているため、不当な金額を請求されても気づきにくいのです。私のサロンでも「修繕費用の明細が不透明だ」という相談は非常に多く、実態を調べてみると相場の2倍以上の費用を請求されていたケースもありました。
落とし穴④:新築プレミアムが消えたあとの悲劇
ワンルームマンション投資でサブリース契約を結ぶ人の多くは、新築物件を購入しています。そして、新築物件には「新築プレミアム」という大きな問題があります。
新築マンションは、完成直後が最も価格が高く、最も家賃が高い状態にあります。しかし、築1年を経過した瞬間に「中古」となり、市場での価値は急落します。5〜10年も経てば、購入時の80〜85%程度の価格水準まで下がることも珍しくありません。
サブリース会社が最初に提示する保証賃料は、この新築プレミアムを前提にした金額です。つまり「今後下がることを見越した上で、とりあえず高い金額を提示している」という側面があるのです。
また、新築物件の購入価格は、同エリアの中古物件に比べて2〜3割高いケースが多く、価格の下落率も大きくなります。「売却できる」という出口戦略が描きにくく、含み損を抱えたまま保有し続けることになるオーナーが後を絶ちません。
出口がない投資は、どれだけキャッシュフローが良くても安心できません。売却価格がローン残高を下回る状態(オーバーローン状態)に陥ると、売りたくても売れない、保有し続けるしかないという最悪のシナリオになってしまいます。
投資家JACKが見てきたサブリース被害の実例
私のサロン「コアメンバー」は2015年に始まり、現在11年目を迎えています。この11年間で、本当に多くのサブリース被害の相談を受けてきました。いくつかの典型的な事例を紹介します。
事例①:家賃を一方的に下げられ、ローンが払えなくなったBさん(40代・会社員)
都内新築ワンルームマンションを3,500万円で購入し、月9万円の家賃保証でサブリース契約を結んだBさん。ローン返済は月8万5,000円で、当初は毎月5,000円のプラスでした。ところが購入から7年後、保証賃料を7万8,000円に引き下げると通知が届きました。毎月7,000円の赤字に転落し、売却しようとしても2,500万円でしか売れず、1,000万円の含み損。ローン残高もまだ2,800万円残っており、売るに売れない状態です。
事例②:修繕費を請求され続けたCさん(50代・自営業)
大阪市内のワンルームマンションをサブリース付きで購入したCさん。3年に一度の頻度で「設備交換が必要」という連絡があり、そのたびに10〜30万円の修繕費を請求されました。管理会社指定の業者しか使えないため、金額の妥当性を確認することもできず、5年間で合計120万円以上の修繕費を支払っていました。
事例③:解約したくてもできないDさん(30代・医療従事者)
研修医時代に「節税になる」と勧められ、新築ワンルームマンションをサブリース付きで購入したDさん。収入が上がり節税の必要がなくなったため解約を申し出たところ、契約書の条項に基づき「6ヶ月分の保証賃料相当額を違約金として支払うこと」と言われました。約48万円の違約金を支払うことになり、「最初からこんな条件とは聞いていなかった」と憤っていましたが、契約書にはしっかりと記載されていたのです。
サブリース業者の見分け方と、うまい断り方
サブリース契約付きのワンルームマンションを勧めてくる業者に共通する「営業トーク」があります。以下の言葉が出てきたら要注意です。
- 「空室リスクがゼロだから安心です」
- 「ローンを払いながら節税できる上に、老後の年金にもなります」
- 「大手管理会社がついているので管理も楽です」
- 「今が買い時です。このエリアは再開発で必ず上がります」
断り方としては、「弁護士(もしくはファイナンシャルアドバイザー)に相談してから決める」というのが最も有効です。プロのチェックが入ると業者が嫌がるのは、それだけリスクがあるということです。その反応自体が答えを示しています。
また、断った後に「今だけの特別価格です」「枠が残り1戸だけです」などと催促してくるケースも多いですが、本当に良い投資案件ならそんな急ぎ方はしないものです。焦らせる業者ほど注意が必要です。契約前に必ず以下を確認してください。保証賃料の改定条項(いつ、どの程度下げられる可能性があるか)、解約条件と違約金の詳細、修繕費の負担範囲と業者指定の有無、これらが明確に回答できない業者とは取引をしないことが賢明です。
「家賃保証なし」でも安定収益を出す方法——投資家JACKが実践していること
では、サブリース契約なしでどうやって安定した家賃収入を得るのか?私が実践しているのは「大阪の築古戸建投資」です。
大阪の築古戸建物件(築30〜40年、300〜600万円台)は、低価格で取得できるため初期投資が少なく、リフォームをしっかりやれば十分な賃料水準で貸すことができます。表面利回りで15〜20%を超える物件も珍しくありません。
管理会社の中間マージンが発生しないため、収益が直接オーナーに入ります。また、ワンルームマンションと違って土地の価値があるため、出口戦略も描きやすいのが特徴です。たとえ賃貸経営がうまくいかなくなっても、土地値でリカバリーできる可能性があります。
さらに重要なのは、入居者との直接関係が持てること。管理会社経由ではなく、直接コミュニケーションが取れる分、信頼関係が築きやすく、長期入居につながることも多いのです。「サブリース=安心」ではなく、「正しい物件選び+適切な管理=安定収益」です。その基礎知識を身につけることが、不動産投資で成功するための第一歩だと私は考えています。
まとめ:「家賃保証」の正体を知った上で判断してほしい
今回の記事でお伝えしたかったのは、「サブリース=安全・安心」という認識が危険だということです。
サブリース契約には、保証賃料は定期的に引き下げられるリスクがあること、オーナーから解約することが難しく、違約金が発生するケースが多いこと、修繕費・設備交換費はオーナー負担で、業者指定により割高になりやすいこと、新築マンションは購入価格が高く、価値下落が大きいため出口戦略が描きにくいこと、管理の透明性が低く、入居者情報・収支状況をオーナーが把握しにくいこと、といった問題が複合的に絡み合っています。
「家賃保証で安心」という言葉は、あくまでも営業トークのひとつです。契約の中身をきちんと読み込み、リスクを正しく理解した上で判断することが大切です。
不動産投資は「知識があるかどうか」で結果が大きく変わります。私のサロンでは、実際の物件選びから契約書のチェックまで、実践的なノウハウをお伝えしています。疑問に思ったことは、まずしっかりと調べる習慣をつけてください。
最後に、すでにサブリース契約でお困りの方は、一人で悩まずに不動産専門の弁護士やファイナンシャルアドバイザーに相談することをお勧めします。契約内容によっては、思ったよりもスムーズに解決できるケースもあります。あなたの大切な資産を守るために、正しい知識と適切なサポートを活用してください。
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